【第2回】グラスから「焼き立てのパン」と「バニラ」が香る理由
〜全4回連載〜
ワインを一口含んだあと、喉の奥からふわっと甘くて香ばしい香りが抜けていくことがあります。 ソムリエの解説を覗いてみると、「新樽由来の甘やかなバニラ香」「焼いたトーストやブリオッシュの香ばしさ」なんて書かれていたりします。
「ブドウだけで作っているはずのワインから、なんでお菓子屋さんみたいな香りがするの?」 ここにも、ワインづくりのちょっと素敵な仕組みが隠されています。
実はこの甘く香ばしい香りの正体は、ブドウそのものではなく、ワインを寝かせる「木樽(オーク樽)」です。

ワインの樽を作るとき、職人さんは木の板を火で炙って曲げ、樽の形にしていきます。このとき、内側をどれくらい焦がすかによって、木に含まれる成分が分解され、「バニリン」という本物のバニラと全く同じ香り成分や、トーストのような香ばしい成分が生まれるんです。
いわば、ワインがオーク樽の中でじっくり眠っている間に、木の持つ甘みと焦げた香ばしさをギュッと吸い込んでいるんですね。
だから、ワイン通の人が「このワイン、樽のニュアンスが効いててリッチですね」なんて話しているのを聞いたら、頭の中でこう変換してみてください。
「あ、高級なバニラアイスやパウンドケーキを食べたときみたいな、あたたかくて甘い余韻が残るんだな」 「喫茶店でバターたっぷりのトーストをかじった時みたいな、香ばしい満足感があるんだな」と。
バニラやトーストの香りがするワインは、なんだかほっとする温もりがあって、肌寒い季節や、夜に一人でゆっくり過ごしたい時にぴったりです。
今夜飲むワインにそんな香ばしさを感じたら、グラスの中で静かに眠っていた木樽のストーリーに、少しだけ思いを馳せてみませんか?
💡 今夜試せる「通っぽい」ひと言メモ
- バニラやお菓子のような甘い香りを塗感じたら: 「樽の効き具合が絶妙で、すごくリッチで甘やかな余韻がありますね」
- パンのような香ばしさを感じたら: 「香ばしいトーストやナッツのニュアンスがあって、ほっとする味わいです」
Wine & Whisper セレクトショップには、マスターがオススメするさまざまなタイプのワインが紹介されています。バニラやトーストの香りが感じられる、お気に入りの一本を探してみてください。